先輩医師からのメッセージMessage

大学院生からのメッセージGraduate student

村山正和先生2017年入局

私は、入局後最初の3年間は昭和医科大学病院、昭和医科大学藤が丘病院、小田原市立病院で臨床を学び、その後は大学院で基礎研究に取り組み始めました。臨床免疫腫瘍学教室に所属し、癌免疫や腸内細菌に関する研究を行っております。頭頸部癌治療における新たな治療選択肢である免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)は奏功率の向上が課題であり、その効果は腫瘍微小環境に影響されると考えられています。近年、腸内細菌叢が、癌免疫療法の抗腫瘍効果を高めることが明らかになっており、我々はその腸内細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸に注目し、癌・免疫細胞に対する作用を明らかにしました。科研費を取得し、現在も臨床に復帰しながらさらに研究を進めております。
医師として、目の前の患者さん一人一人に向き合っていくのも良いですが、未来の多くの患者さんの病気を治すことを目標に日夜研究に明け暮れるのも非常にやりがいを感じられると思います。医学の進歩は先人の基礎研究と臨床研究の蓄積によって成り立っています。基礎・臨床の双方の視点から学ぶことで、今後の診療や研究に活かしていけると思います。私自身は大学院に進んで本当に良かったなと思っていますし、興味があればいつでも相談してください。
改めて当教室に興味を持っていただきありがとうございます。心より歓迎いたします。私たちも全力でサポートいたしますので、ぜひ一緒に当教室、そして耳鼻咽喉科頭頸部外科全体を盛り上げていきましょう。

丸山祐樹先生2018年入局

耳鼻咽喉科頭頸部外科は五感に関わる感覚器を扱う診療科であり、この五感は人が生活する上でなくてはならないものとなっております。患者さんは「聞こえない」「匂いがわからない」「味がわからない」などで当科を受診されることが多いです。患者さんの話をよく聴き、適切な診断や治療を行い、笑顔で帰宅される姿は医師としてのやりがいを感じます。また当科は内科や外科の区分はなく、診断から治療まで自分たちで完結できる点や感染症やアレルギー、悪性腫瘍など様々な疾患を扱う点も魅力的だと思います。
私は現在、一時的に臨床から離れて、研究に邁進しております。臨床薬理研究所 臨床免疫腫瘍学部門に所属しており、日々研究を行っております。中々イメージがつかないところだと思いますが、一言でいうと「がんと免疫」を扱う学問です。がん治療は今まで手術、放射線治療、化学療法の3本柱で従来行ってきましたが、最近になりがん免疫療法という治療が確立されました。これは免疫細胞の効果を上げることで、がん細胞を殺す仕組みとなっており、がん患者さんへの治療の選択肢が広がりました。ですが、このがん免疫療法はまだ色々な問題点があり、その一つとして、効果の個人差が大きいところにあります。そこで我々は個人差を出来る限り減らすことで、多様ながん患者に対して効果をあげられるようにマウスや細胞での実験を行い、成果を上げているところです。
ここには書ききれない良いところがまだまだ沢山あります。耳鼻咽喉科頭頸部外科に少しでも興味をお持ちになった方、写真を見て楽しそうな感じを思って頂けた方、ぜひ一度見学にお越しください。

上村佐和先生2018年入局

私は昭和医科大学を卒業後、2年間の初期臨床研修を藤が丘病院で行い、昭和医科大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座に入局しました。もともと手技のある科に興味があり、研修する中で外来や手術、小児から高齢者と幅広い耳鼻咽喉科領域に興味をもち、選択しました。入局3年目から大学院に専念させていただきました。
鼻科領域に興味があったことと嗅覚外来の経験を生かして、医学部生理学生体調節機能学部門の大学院で研究を始めました。臨床研究を自分で計画、設定し相談しながら研究を始めましたがCOVID-19の流行を受け対象者を集められない事態に直面しました。もともとはヒトを対象とした臨床研究で予定していたところを大学院の先生のご指導をいただき動物実験をすることに方向転換しました。こちらも全く基礎知識がない中で計画を組むところから実際に研究をはじめ解析をするという貴重な経験をさせていただきました。臨床現場では嗅覚障害患者さんに対し嗅覚リハビリテーションが注目されておりその作用についてマウスを用いて検討しました。生理学生体調節機能学の教室でマウスに対する嗅覚刺激とスニッフィングについて研究し、嗅覚刺激とスニッフィング周波数パワー増加の両要因が嗅球の顆粒細胞の新生に関与しているという結果を得ました。論文化し、無事に学位を取得することができました。
大学院の期間、臨床から離れることにとても不安が強かったのですが、復帰後は臨床では違う観点から物事を観察・考察することや、学会においても基礎研究の先生と交流することが増え、世界が広がったと実感しています。専門医制度が変わり、何を優先するかなど考えることが多いと思いますが臨床や研究、学位や留学と選択肢が多いところは大学病院の魅力だと思いますし、経験している医局員の先生も多く、悩んでいる皆さんの力にきっとなれると思います。
研修医、学生のみなさん、ぜひ昭和医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座に一度見学に来てください。医局員一同お待ちしております。